ネットで見たアレの広告、追いかけてくるのはなぜ? その仕組みと簡単ブロック法
インターネットで「さっき見たアレ」の広告、追いかけてくるのはなぜ?
インターネットで何かを調べていたり、お買い物のサイトを見ていたりすると、後から別のサイトやSNSで、さっき見たばかりの商品の広告が表示されることがありますよね。
「なんで私がこれを見たって知ってるんだろう?」「なんだか見られているみたいで気持ちが悪い…」と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これは「トラッキング広告」と呼ばれる仕組みによるものです。あなたのインターネット上での行動を「追跡(トラッキング)」し、興味を持ちそうな広告を表示するために使われています。
この記事では、なぜこのようなことが起きるのか、その仕組みをできるだけ分かりやすくご説明し、そして、あなたがこのような追跡から身を守るための具体的な方法をご紹介します。
あなたの「足跡」を見ている? トラッキング広告の仕組み
なぜ、あなたがインターネットで何を見たかが、他のサイトの広告にまで影響するのでしょうか。その鍵となるのが「Cookie(クッキー)」という仕組みです。
Cookieとは、あなたがウェブサイトを訪問した際に、あなたのコンピューターやスマートフォンの中に一時的に保存される小さな情報ファイルのことです。
通常、Cookieはそのウェブサイト自身があなたの訪問履歴や設定(ログイン状態やカートに入れた商品など)を覚えておくために使われます。これはサイトを便利に利用するために役立ちます。
しかし、広告の世界では、このCookieが「追跡」にも利用されることがあります。
例えば、あなたがAというお買い物サイトで特定の商品を見たとします。このサイトは、あなたのブラウザにAサイトのCookieを保存します。
さらに、そのAサイトに表示されている広告は、多くの場合、別の広告会社Bが配信しています。この広告会社Bも、独自のCookieをあなたのブラウザに保存することがあります。これが「第三者Cookie」と呼ばれるものです。
あなたが次に、全く関係のないニュースサイトCを訪れたとしましょう。このニュースサイトCにも、先ほどの広告会社Bの広告が表示されているとします。広告会社Bは、ニュースサイトCでもあなたを見つけ出し、以前Aサイトで見た商品の情報を第三者Cookieを通じて読み取ります。
こうして、広告会社Bは「この人はAサイトでこの商品に興味を持っていたようだ」という情報を得て、ニュースサイトCを見ているあなたに、Aサイトで見た商品の広告を表示させることができるのです。
つまり、第三者Cookieは、複数のウェブサイトをまたいであなたの行動を記録し、あなたがどんなことに興味があるかを知るための「足跡」のような役割を果たすことがあります。
追跡を止めるための具体的で簡単な方法
「自分のインターネットの足跡を見られている」と思うと、あまり良い気はしないですよね。でもご安心ください。このような追跡を制限したり、止めたりする方法があります。どれも比較的簡単に設定できますので、ぜひ試してみてください。
1. ブラウザの設定を変更する
多くのブラウザには、トラッキングを防ぐための機能が備わっています。特に重要なのは、Cookieの設定と、トラッキング防止機能です。
- 第三者Cookieをブロックする: ブラウザの設定メニューからプライバシーまたはセキュリティの項目を選び、「第三者Cookieをブロックする」という設定を探してください。この設定を有効にすると、複数のサイトをまたいだ追跡に使われやすい第三者Cookieの保存を防ぐことができます。ウェブサイトの基本的な機能に影響する場合もありますが、多くの場合は問題なく閲覧できます。
- トラッキング防止機能を有効にする: 最新のブラウザには、「トラッキング拒否リクエストを送信する(Do Not Track)」や、より強力な「トラッキング防止」機能が搭載されています。これらの機能を有効にすることで、ウェブサイトに対してあなたの行動を追跡しないでほしいという意思表示をしたり、追跡に使われる仕組みそのものをブロックしたりすることができます。ブラウザの設定画面で、プライバシーやセキュリティに関連する項目を確認してみてください。(例: Chromeの「トラッキング防止」、Safariの「ITP (Intelligent Tracking Prevention)」、Firefoxの「強化型トラッキング防止」など)
これらの設定を行うことで、広告会社があなたのウェブサイトをまたいでの行動を追跡することが難しくなり、追いかけてくる広告の数を減らす効果が期待できます。
2. 特定のウェブサイトの広告設定を見直す
GoogleやSNS(Facebook, Instagramなど)では、あなたに表示する広告の種類をカスタマイズするための設定が用意されています。
これらの設定画面では、どのような興味関心に基づいて広告が表示されているかを確認したり、特定のカテゴリの広告表示を止めたりすることができます。トラッキング広告そのものを完全に止めるわけではありませんが、表示される広告をある程度コントロールすることが可能です。
例えば、Googleアカウントをお持ちであれば、「Googleアカウント」の設定から「データとプライバシー」を選び、「広告設定」を確認してみてください。興味がないカテゴリのチェックを外すなどの調整ができます。
3. 追跡防止に特化したブラウザや拡張機能を利用する
より強力に追跡を防ぎたい場合は、プライバシー保護に力を入れているブラウザ(例: Braveブラウザ)を使ってみたり、ブラウザに追加して使う追跡防止の拡張機能(例: uBlock Originなど)を導入したりする方法もあります。
これらのツールは、ウェブサイト上のトラッカー(追跡を行う仕組み)を自動的に検知し、ブロックする機能を持っています。ただし、拡張機能の導入には少し技術的な手順が必要になる場合があり、また、ウェブサイトによっては正しく表示されなくなる可能性もゼロではありません。まずはブラウザの標準機能から試してみるのがおすすめです。
まとめ:インターネットプライバシーは自分で守る第一歩から
インターネットで見たものが広告になって追いかけてくるのは、決してあなたが特別なのではなく、トラッキング広告という仕組みによって広く行われていることです。その仕組みを知り、ご自身のブラウザやサービスの設定を少し変更するだけで、追跡をある程度コントロールし、オンラインでのプライバシーを守ることができます。
今回ご紹介した方法は、どれもすぐに試せるものです。まずはブラウザの「第三者Cookieのブロック」や「トラッキング防止機能」の設定から始めてみてはいかがでしょうか。
インターネットを快適に、そして安心して利用するために、できることから少しずつ対策を進めてみてください。