スマホアプリ、あなたのことどこまで知ってる? 知らない間に追跡されないための設定
スマートフォンアプリはあなたの強い味方、でも…
スマートフォンは今や私たちの生活に欠かせないものとなりました。天気予報を見たり、友人や家族と連絡を取ったり、買い物をしたりと、便利なアプリがたくさんあります。
でも、その便利さの裏側で、「このアプリ、私のことどこまで知ってるんだろう?」とか、「自分がどんなものに興味があるか、勝手に調べられているんじゃないか」と、漠然とした不安を感じることはありませんか?
実は、多くのスマートフォンアプリは、あなたが思っている以上に様々な情報を集めている可能性があります。そして、その情報があなたの目にする「広告」などに利用されていることがあるのです。
この記事では、スマートフォンアプリがどのようにあなたの情報を集めているのか、そしてあなたが追跡から身を守るために、今すぐできる簡単な設定方法を分かりやすく解説します。難しい話は抜きにして、安心してスマートフォンを使うためのヒントをお届けします。
アプリが「あなたの情報」を知る仕組み
スマートフォンアプリは、利用規約やプライバシーポリシーに書かれている範囲で、さまざまな情報にアクセスしたり、収集したりすることがあります。例えば、次のような情報が考えられます。
- あなたの位置情報: 「地図アプリ」や「天気予報アプリ」などが、あなたが今どこにいるかを知るために利用します。でも、ゲームアプリや全く関係ないアプリまで位置情報を常に取得しているとしたら、少し心配になりませんか?
- 連絡先: 「通話アプリ」や「メッセージアプリ」などが、あなたの電話帳にアクセスすることがあります。
- 写真や動画: 「カメラアプリ」や「SNSアプリ」などが、あなたの写真フォルダにアクセスすることがあります。
- マイク: 「音声入力アプリ」や「通話アプリ」などが、マイクを利用することがあります。
- アプリの利用状況や操作履歴: どんなアプリをどれくらいの時間使っているか、アプリの中でどんな操作をしたかといった情報も、集められることがあります。
これらの情報は、アプリの機能を正確に動かすために必要な場合もあります。例えば、天気予報アプリが正確な予報を出すには位置情報が必要です。しかし、集められた情報が、あなたの趣味や興味関心、よく行く場所などを推測し、あなたにぴったりの「おすすめ」の広告を表示するために利用されることも少なくありません。これが、いわゆる「追跡型広告」につながる仕組みの一つです。
「さっき検索したばかりの商品が、全然別のアプリを使っているときにも広告として出てきた」という経験は、まさにこの情報収集と利用の仕組みが働いている例と言えるでしょう。
アプリの追跡から身を守るための簡単な設定
「自分の情報が勝手に使われるのは嫌だな」と感じたら、完全に追跡をゼロにすることは難しくても、ある程度自分でコントロールする方法があります。特別な技術は必要ありません。スマートフォンの「設定」を変えるだけでできる、簡単な方法をご紹介します。
1. アプリごとの「権限」を見直しましょう
スマートフォンアプリは、利用するために様々な「権限」をあなたが許可する必要があります。例えば、「位置情報へのアクセス」「連絡先へのアクセス」「マイクへのアクセス」などです。アプリを入れるときに「許可しますか?」と聞かれた経験があるはずです。
この権限は、後からいつでも見直したり、変更したりすることができます。
スマートフォンの「設定」を開いてみてください。「アプリ」や「プライバシー」、「位置情報」といった項目を探してみましょう。機種やOSのバージョンによって名称は少し異なることがありますが、これらの項目の中に「アプリの権限」や「権限マネージャー」といった設定があるはずです。
そこを開くと、インストールされているアプリが、それぞれどのような権限を持っているかの一覧が表示されます。
「なぜこのゲームアプリが連絡先へのアクセス権を持っているのだろう?」「このニュースアプリは、なぜ常に私の位置情報を知る必要があるのだろう?」など、不必要だと思われる権限があれば、そこでオフにすることができます。
一度時間を取って、普段使っているアプリの権限を一つずつ確認してみてください。思わぬアプリに、必要以上の権限を与えてしまっていることに気づくかもしれません。
2. 「広告識別子」をリセット・制限しましょう
スマートフォンには、あなた自身を特定するものではありませんが、あなたのスマートフォンの利用傾向と紐づけられる「広告識別子」というものが存在します。広告会社はこの識別子を使って、あなたがどんな広告に興味を持ちそうかを判断し、パーソナライズされた広告を表示しています。
この広告識別子は、リセットしたり、追跡型広告のために利用されないように制限したりすることが可能です。
iPhone (iOS) の場合:
- 「設定」アプリを開きます。
- 「プライバシーとセキュリティ」をタップします。
- 「Appleの広告」をタップします。
- 「パーソナライズされた広告」をオフにします。 また、「広告識別子をリセット」という項目があれば、それをタップすることで、これまでの利用傾向と紐づけられていた識別子を新しくすることができます。
Android の場合:
- 「設定」アプリを開きます。
- 「プライバシー」または「Google」といった項目をタップします。(機種により異なります)
- 「広告」という項目をタップします。
- 「広告のカスタマイズを無効にする」または「パーソナライズ広告をオフにする」といった設定をオン(有効)にします。 「広告IDをリセット」という項目をタップすることで、識別子を新しくすることも可能です。
これらの設定を行っても広告自体が消えるわけではありませんが、あなたの興味や行動に基づいた追跡型の広告が表示されにくくなります。
まとめ:できることから始めてみましょう
スマートフォンアプリによる情報収集や追跡について、少し不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、過度に心配する必要はありません。今回ご紹介したように、スマートフォンの設定を少し見直すだけで、あなたが自分で情報を管理し、追跡をある程度避けるための行動を起こすことができます。
特に、アプリの「権限」を見直すことと、「広告識別子」の設定を変更することは、誰でも簡単にできる追跡対策の第一歩です。まずはこの二つの設定から始めてみてはいかがでしょうか。
オンラインでのプライバシーは、少しの意識と行動で、より良く守ることができます。この記事が、あなたのスマートフォンとの付き合い方を見直すきっかけになれば幸いです。