「あれ欲しいな」が広告に? なぜ? 追跡の仕組みと今すぐできる簡単な止め方
なぜ、欲しいと思ったものが広告に出てくるのでしょうか?
インターネットを見ていると、「あれ、さっき調べたものだ」とか、「ちょうど欲しいと思っていたものが広告に出てきた」といった経験はありませんか?まるで自分の考えを見透かされているようで、少し驚いたり、時には気持ち悪く感じたりすることもあるかもしれません。
これは決して偶然ではありません。あなたがインターネット上で行った行動は、様々な方法で記録され、「あなたの興味があること」として集められています。そして、その情報をもとに、あなたに「ぴったりの」広告が表示されているのです。このような仕組みは一般的に「トラッキング広告」や「追跡型広告」と呼ばれています。
トラッキング広告はどのようにしてあなたのことを知るの?
では、あなたの興味や関心は、どのようにして広告を出す会社に伝わるのでしょうか?主な仕組みをいくつかご紹介します。
1. ウェブサイトの閲覧履歴や検索履歴
あなたがどんなウェブサイトを見たか、何を検索したか、というのは、あなたの興味を知るための重要な手がかりです。例えば、旅行会社のサイトをよく見ている人には旅行の広告を、新しい家電を調べている人には家電量販店の広告を表示するといった具合です。
2. Cookie(クッキー)の働き
「Cookie」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、あなたがウェブサイトを訪問したときに、ウェブサイトがあなたの利用しているインターネットを見るソフト(ブラウザ)に保存する小さな情報ファイルです。
Cookieは、あなたがそのサイトを再び訪れたときに、ログイン状態を保ったり、ショッピングカートに入れた商品を記憶したりする便利な役割も持っています。しかし同時に、あなたがそのサイトや、そのサイトと提携している別のサイトでどのようなページを見たか、どんな商品をクリックしたかといった「行動履歴」を記録するためにも使われます。
3. その他の情報
Cookieだけでなく、あなたがインターネットに接続する際の「IPアドレス」(インターネット上の住所のようなもの)や、利用しているスマートフォンやパソコンの種類といった情報も、あなたの行動や興味を推定するために利用されることがあります。スマートフォンの場合は、「広告識別子」という、広告配信のために割り振られた番号が使われることもあります。
これらの様々な情報が組み合わされることで、「〇〇に住んでいて、30代くらいの女性で、最近△△に興味を持っているらしい」といった形で、あなたのプロフィールが推定され、それに合った広告が表示されるのです。
追跡から身を守るために、今すぐできる簡単な方法
「自分の行動がそんなに見られているなんて…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしご安心ください。完全に追跡を防ぐことは難しい場合もありますが、自分でできる対策はたくさんあります。ここでは、専門知識がなくてもすぐに試せる簡単な方法をご紹介します。
方法1:ブラウザの設定を見直す
あなたがインターネットを見るために使っているソフト(Google Chrome、Safari、Microsoft Edgeなど)には、プライバシーを守るための設定が備わっています。
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Cookieをブロックする設定: ブラウザの設定画面から、Cookieをすべてブロックしたり、特定のサイトからのCookieだけをブロックしたりすることができます。ただし、Cookieをブロックしすぎると、一部のウェブサイトでログインできなくなったり、表示が崩れたりする可能性があります。まずは「サードパーティCookie(訪れているサイト以外のCookie)」だけをブロックする設定から試してみるのがおすすめです。
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トラッキング防止機能を有効にする: 最近の多くのブラウザには、「トラッキング防止機能」や「追跡拒否リクエスト(Do Not Track)」といった機能が搭載されています。これらの機能を有効にすることで、ウェブサイトに対して「私の行動を追跡しないでください」という意思表示をすることができます。(ただし、このリクエストに従うかどうかはウェブサイト側次第です。)
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閲覧履歴やCookieを定期的に削除する: ブラウザに残っている閲覧履歴やCookieを削除することで、過去の行動履歴をもとにした追跡をリセットすることができます。定期的に行うことで効果があります。
方法2:スマートフォンの広告設定を見直す
スマートフォンのアプリ利用履歴なども、広告のために使われることがあります。スマートフォンの設定画面で、広告に関する設定を変更できます。
- 広告識別子をリセットする:
スマートフォンには、広告配信のために使われる固有の識別子があります。この識別子をリセットすることで、過去の行動履歴との紐付けを断ち切ることができます。
- iPhoneの場合: 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「トラッキング」>「Appからのトラッキング要求を許可」をオフにする、または「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「Appleの広告」>「パーソナライズド広告」をオフにする。
- Androidの場合: 「設定」>「プライバシー」>「広告」>「広告IDをリセット」または「広告のカスタマイズをオプトアウト(無効化)」をオンにする。
- アプリのトラッキングを許可しない: iOSでは、アプリが他の企業のアプリやウェブサイトを横断してあなたを追跡することを許可するか尋ねられることがあります。許可しない設定を選びましょう。
方法3:プライバシーを重視したブラウザや検索エンジンを使ってみる
より強力に追跡を防ぎたい場合は、プライバシー保護に特化したブラウザ(例: DuckDuckGo Private Browser, Firefox Focusなど)や、検索履歴を追跡しない検索エンジン(例: DuckDuckGo, Brave Searchなど)を試してみるのも良い方法です。
まとめ:追跡を知り、自分で対策を始める一歩を
あなたがインターネットで見たものが広告として表示されるのは、「トラッキング広告」という仕組みによるものです。あなたのウェブサイトの閲覧履歴や検索履歴、Cookieなどの情報が利用されています。
しかし、これらの追跡から完全に逃れることは難しくても、ブラウザやスマートフォンの設定を見直すことで、ある程度の追跡を防ぎ、プライバシーを保護することができます。
この記事でご紹介した方法は、どれもすぐに試せる簡単なものばかりです。まずは一つからでも良いので、ぜひ試してみてください。自分の情報がどのように使われているかを知り、自分でコントロールするための第一歩を踏み出すことが、オンラインでの不安を減らし、より安心してインターネットを利用することにつながるでしょう。
難しそうだと感じていた方も、「これならできそう」と思っていただけたら嬉しいです。